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黒猫の手、貸します。

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中小企業がネット通販を始めるとした場合、最も手っ取り早い手段はインターネットモールに出品してしまうことでした。楽天やYahoo!など、様々な仮想商店街が彼らを支援していますが、一方で宅配業者によるネット通販支援サービスも本格化しているそうです:

ヤマト、ネット通販一括受託 (日本経済新聞 2006年12月28日 第9面)

ヤマト運輸が来年1月から始めるサービス「通販パック」について。企業のインターネット通販業務を一括受託するサービスで、専用ホームページの作成から受注・顧客管理、出荷管理、代金回収までを請け負ってくれるそうです。企業はヤマトが持つ宅配便のノウハウとインフラを活用することで、商品企画・製造の分野に特化できる -- という仕組み。ヤマト運輸だけに、「クロネコの手も借りたい」企業にとっては朗報と言えるでしょうか?

一方の「飛脚」、佐川急便もネット通販支援として、顧客管理・配達先でのクレジットカード決済などのサービスを行っています。彼ら宅配業者の狙いはもちろん、サイト構築でお金を稼ぐところにあるのではなく、本業である宅配の取り扱いを増やすところにあります。貨物輸送量全体が減少する中で、ネット通販による宅配便需要は順調に伸びており、これを取り込むために様々なサービスを打ち出しつつあるというわけです。

販売者(企業)の視点からネット通販に必要なプロセスを考えた場合、以下のようなものが挙げられるでしょう(順不同):

  1. 商品準備(企画・製造・仕入)
  2. サイト構築
  3. 集客・販促
  4. 顧客管理
  5. 受注
  6. 出荷・配送
  7. 在庫管理
  8. 決済

最終的には同じ結果(ネット通販の開始)が得られるという点では、楽天とヤマト運輸のどちらを選んでも変わりありません。しかし楽天を活用した場合、集客・販促という点で楽天のブランド力・集客力・ノウハウが活用できます。一方ヤマト運輸のサービスでは、上記5~8の点でヤマトが持つノウハウを活用できるでしょう。どちらが優れているという訳ではなく、集客力を重視したい企業は楽天(などのインターネットモール)を、ロジスティクスを重視したい企業はヤマト運輸(などの宅配業者)を選ぶといったような住み分けが進んでいくのではないでしょうか(一部では楽天を離脱->ヤマトのサービスで自社サイト立ち上げ、という乗換えが発生するでしょうが)。

そういえば先日、日通がネットスーパーを物流の面から支援するサービスを始めることを発表しました:

ネッツ・パートナーズ、スーパー向けネット通販の配送網強化で日通と提携 (Venture Now)

物流や在庫管理といった、「モノ」の面から企業のEC戦略をサポートするサービスが、今後盛んになるかもしれませんね。また上記1~8のネット通販プロセスに関連する強みを持っている企業が、新たにネット通販支援サービスに参入するということも考えられるのではないでしょうか。

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