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家族をつなぐゲーム機

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ニンテンドーDSが大人気です。と ITmedia の読者の方々には改めて宣言するまでもないのですが、DS Lite は未だに一部で品薄のようですね。「ゲーマー」と呼ばれるようなヘビーユーザー層以外にも、DS を欲しいという人が増えているのが人気の秘密だそうです。

以前ブログで書いたかもしれませんが、僕の両親もそんな中の一人。『脳を鍛える大人のDSトレーニング』を初めとして、様々なゲームで楽しんでいます(実家に帰る度にソフトが増えているほど)。僕が子供の頃は「ビデオゲームなんて絶対に買わない!」というタイプだったので、その豹変ぶりにビックリ。

そこで先日、父親の誕生日に『大人の常識力トレーニングDS』というソフトをプレゼントしてみました。その名の通り、常識に関する質問がクイズ形式で出題されるというもの。『脳を鍛える』と同じような操作感覚で遊べるということもあって、反応を見る限りでは喜んでくれているようです。しかし、僕が親にゲームソフトをプレゼントする日が来るとは、中学生の頃の自分には想像もできなかったでしょう。

実は最新号の日経ビジネスに、ゲーム市場に対する任天堂の認識が詳しく解説されています。近々発売される新型コンソール「Wii」の特集記事の中で、社長の岩田聡氏の言葉として次のような一文がありました:

「子供はゲームで遊んでいるのに、その親は一緒になって遊んでいないとか、社会人が忙しくなって昔ほどゲームで遊んでいないとか、子供がゲームを卒業するタイミングが早まっているとか・・・。前々から薄々と感じていましたが、冷静になって調べてみると、どの角度から見てもゲーム人口は減っていることが分かりました。このままでは私たちの将来はない。従来の延長線上にはないことをやってゲーム人口を拡大させないと駄目だと確信したのが、2002年から2003年にかけてです」

そこで「お母さんに嫌われないゲーム」をコンセプトとして Wii の開発が行われていった、と解説されています。

これまでのビデオゲームは、まさに親からすれば嫌悪の対象でした。実際、いま僕が子供から「PS3買って~!」とねだられたら眉をひそめるでしょう。それを180度転換して、大人も楽しむ、家族で楽しむという存在へと変えていこうという戦略が、(少なくともこれまでのところは)成功を収めているというわけです。

いま、「PCがリビングに進出する」「ゲーム機が家庭の中心になる」などといった未来像が盛んに喧伝されています。しかし実際の一般家庭では、PCは書斎・勉強部屋を出れないままですし、ゲーム機を操る中高年という姿もまだ少数派です。一方でニンテンドーDSという小さな携帯端末は、(少なくとも僕の家庭では)親と子の共通の話題として扱われる存在となることに成功しました。両者の差がどこにあるのか、簡単には説明できませんが、「既存の延長線上で物事を考えてしまうこと」を捨てられたか否かが重要な要素になっているのではないでしょうか。であれば、PS・PS2 で大成功を収めたソニーの苦戦が伝えられるのも、不思議なことではありません。

PS3 vs. Wii、これからどんな戦いになっていくのか分かりませんが、とりあえず僕の家では Wii に軍配が上がりそうです(奥様の承認が下りました)。Wii は体を動かすゲームということで、「テニスひじ」ならぬ「Wii ひじ」という問題まで発生する可能性がある(関連記事)くらいですから、ちょっぴり健康的なイメージもありますしね。何よりも娘が物心ついたとき、PS 型のゲームに慣れてしまう前に、ニンテンドーDS/Wii 型のゲームを受け入れてくれるかもしれない・・・という期待を込めて Wii を選びたいと思います。

< 追記 >

CNET Japan さんで、上記でリンクした Wall Street Journal の記事が紹介されていましたね。リンクを貼っておきますので、ご参照下さい。

「Wiiを使った運動」がカウチポテト族を救うか? (CNET Japan)

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