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「ついでに」ビジネス

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最近「御用聞き」という言葉を目にします。「企業の都合で商品を用意し、消費者に来てもらう」のではなく、「こちらから消費者のところに出かけて行き、彼らのニーズを満たす」という姿勢をかつての御用聞きになぞらえたもので、「御用聞き型ビジネスを目指そう」などという風に使われています。きっかけを作ったのは、下記に掲載した本『なぜ、御用聞きビジネスが伸びているのか』だと思うのですが、ある大企業の経営者の方が気に入って使われているなど、広く流通するキーワードになっているようです。

御用聞き型ビジネスの面白いところは、お客様の「ついでに・・・」というセリフから様々な可能性が生まれてくるところです。例えば先週の日経MJに、こんな一節がありました:

エアコン清掃などホームメンテナンス「楽助」が好評だ。上新電機のサービス部門である当社は、家電製品の配達や修理などで顧客宅を訪れる機会が多い。独り暮らしの高齢者の場合には、ついでに電球などの消耗品の交換を頼まれることも多く「もっと利用者が気軽に利用できるよう、住居に関するメニューを打ち出せないか」と考えたのがきっかけだ。
(日経流通新聞 2006年9月29日 第1面 「マーケット仕掛人 -- ジョーシンサービス常務 山下繁さん」より)

訪問した目的とは別の作業も「ついでに」お願いされることで、そこから新しいビジネスが発展したわけですね。新規事業までいかなくても、例えば「電球のついでに電池もお願い」などのように、単純に売上が増えるという可能性もあるでしょう。

この「ついでに」を引き出すという姿勢は、何も御用聞き型のビジネスを展開していなくても応用可能ではないでしょうか。例えば僕も、お客様に会っていると「今お願いしている仕事とは関係ないんだけど、○○って手伝ってもらえる?」という話になることがよくあります。まぁコンサルタントは御用聞きみたいなものなので、あまり良い例ではないかもしれませんが、お客様やユーザーに「ついでに」と言ってもらえるような関係を築いているか・「ついでに」を積極的に聞きに行っているかという点はどんなビジネスでも意識すべきポイントだと思います。

しかし一方で、「ついでに」は現場に追加の負荷を強いることになります。追加で頼まれた仕事によって、本来の仕事がおろそかになってしまっては本末転倒でしょう。以前社内ベンチャーが流行したときに、「社内ベンチャー推進室」のような新規事業運営の専門部署を置く企業がありましたが、それと同様に「ついでに対応室」なんてものを置いても面白いかもしれません。いずれにしても、お客様と接する現場が拾ってくる「小さなニーズ」を支援する仕組みを用意しておくことが必要ではないでしょうか。

ちなみに御用聞きといえば、漫画『サザエさん』の三河屋さんですが、三河屋さんについてこんな解説記事がありました:

「サザエさんをさがして」家族のように濃密だった御用聞き(asahi.com: Be on Saturday)

と、実は三河屋さんも「ついでに」ワカメちゃんの遊び相手をするなんてことがあったのですね。もし三河屋さんの経営者が辣腕アントレプレナーだったとしたら、この機を逃さず「電話1本で駆けつける託児サービス」なんて始めるのでしょうか・・・。

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