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狭まる視野 2006/07/31 社会

POLAR BEAR BLOG の方で、情報のアグリゲーション+フィルタリングを行ってくれる"Touchstone"というツールについてコメントしました。これは複数の情報ソース(メールやRSSフィードなど)を登録しておくと、一定の条件に見合う情報が到着した場合にのみアラートを表示してくれるというデスクトップアプリケーションです。現在このツールは非公開(申込制)ベータテスト中なので、どこまで使えるか・人気を集めるかは分かりません。しかし「情報洪水」が深刻になりつつあるいま、溢れる情報を整理整頓するという技術の必要性はますます大きくなりつつあるのではないでしょうか。

話は変わって、今朝の日経MJにこんな記事が載っていました:

■ <宿泊客にカタログ販売> 老舗の商品も掲載(日経流通新聞 2006年7月31日 第1面)

マンダリンオリエンタルホテルグループで、宿泊客を対象に客室でのカタログ販売を始めたとのこと。カタログにはマンダリン東京オリジナルの浴衣やバスソルトのほか、ホテルが目利きとなって集めた老舗の商品なども掲載されているそうです。また先日、内容は忘れてしまったのですが、高級車の販売店で海外旅行の販売も始めた、というようなニュースもありました。こうした「富裕層を対象としたビジネスの現場で、別の富裕層向けビジネスを展開する」というのが流行りになっているようです。

こうした取り組みは、「ターゲットに効率的に到達するために既存チャネルを利用する」という捉え方もできますが、「富裕層向けビジネスを一種のフィルターとして捉え、そのフィルターを通して届けられた情報という形を取ることにより、情報へのアテンションを高めてもらう」ための工夫と考えることもできるのではないでしょうか。ターゲットセグメントに到達するだけであれば、ダイレクトメールのような従来型の手法を改良するだけでも良いはずです。しかしあえて「高級ホテル」「高級車ディーラー」という「場」を通して売り込みをすることで、対象となるモノ・サービスに対する印象は大きく異なると思います。

Touchstone のようなフィルタリングツールが登場するようになった背景には、人々が絶え間ない情報の流入に疲れ、アテンションを減らそうとしている傾向があるのではないでしょうか。例ば南の島に出かけた旅行者が、激しい日光と原色に満ちた風景で目を焼かれ、サングラスをかけようとしているような状態です。それはネットの世界だけに止まらず、現実世界においても「サングラス」をかけ、視野を狭めようとするような傾向が出てきているように思います。だからこそ、既存の富裕層向けビジネスという場を活用しようという流れが出てきているのでしょう。

だとすれば、特定のセグメントを対象にしている「場」、特に参加者の意識を捉えやすいような「場」を経由して情報提供しようとする流れは、今後も強くなっていくのではないでしょうか。ネット検索の世界においては、Google が絶対的なフィルターとして存在し、そのフィルターに好意的に評価されるテクニックが SEO として確立しています。極端な言い方をすれば、今後はネット・現実を問わず様々な分野で Google 的な存在が特定され、それぞれの Google に対する SEO 的なテクニックの研究が進むのではないかと思います。

アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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