組織を活性化させていく上で外せないポイントを、企業や組織が抱える問題や課題と照らし合わせて分かりやすく解説します。日々現場でコンサルティングワークに奔走するコンサルタントが、それぞれの得意領域に沿って交代でご紹介します。

目標管理ツールのOKRとMBO

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最近、人事制度(特に評価制度)の話をする中で、"OKR"という言葉をよく耳にする。このOKRとは、Googleやインテルなどが導入しているといわれている目標管理ツールのことで、Objectives and Key Resultsの略称である。このOKRの解説をする日本国内の記述には、「これまでのMBOとは異なる」や「新しい目標管理ツールだ」などの記述があるが、その記述に対して私は違和感がある。

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これまでにもよく用いられている評価制度の考え方のひとつに"MBO"という考え方がある。MBOとは、Management by Objectivesの略称で、これもまた"OKR"と同様に、目標管理ツールのひとつであり、日本国内においてはメジャーな考え方のひとつである。このMBOは、評価の仕組みのひとつとして日本国内においては一般的に認知・認識されている。

しかし、本来は評価の仕組みに傾倒したものではなく、目標を軸にして上司が部下をマネジメントするための仕組み・手法のひとつであり、評価の一部というよりも経営管理手法のひとつであるという理解の方が、MBOに対する正しい理解である。それが、マネジメントにおける便宜上、日本国内においては、MBOの考え方を人事評価の一部に組み込まれ、一般的になり、国内で言うところのMBOは"評価の仕組みの一部"になったのが実態であるといえる。

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このように、日本国内においてMBOは、評価の一部として活用されることが一般的であり、海外から入ってきた頃のMBOとは異なる。つまり、日本国内でMBOは独自の進化を遂げていると私は考えている。この独自の進化とは、"評価の仕組みとしてのMBO"であり、その運用のポイントには、以下のようなものがある。

▼MBO運用のポイント
・目標を分解して、定量的に評価できる指標を設定する
・中間面談(1~3ヵ月に一度)などを通してPDCAを回す
・達成しそうでしない、達成しなさそうでする、目標を最適な目標とする
・目標は上位目標と関係性・関連性があるように立てる
・目標はSMARTに沿って立てる(※SMARTの解説は下部参照)
...など。

これらの"評価の仕組みとしてのMBO"のポイントは、OKRの構築や運用の要諦として提唱されているポイントでもある。つまり、日本国内において独自に進化を遂げたMBOは、昨今話題になっているOKRと類似しており、これが、"OKR"に対して「これまでのMBOとは異なる」や「新しい目標管理ツールだ」と評価する記述に対して感じる、私の違和感である。

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弊社では、外資系企業の日本法人における人事制度を構築することがある。そして、その弊社で構築した人事制度(特に評価制度)を、本国の本社へ報告することがあるが、本国の人事部門から「日本の評価制度は完成度が高い」と、高い評価を頂くことが多く、日本の人事制度の完成度の高さや精緻さをいつも感じる。

昨今話題となっている"OKR"は、本当に仕組みとして、新しいのだろうか。

私は、このような経緯から、Googleやインテルといったグローバル企業が導入している"仕組み"であるから、注目されているに過ぎず、真新しさを感じているだけなのではないだろうかと感じる。

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OKRに限らず、人事のあらゆる仕組みや取組みにはトレンドや流行がある。しかし、一方で、自社が導入している仕組みや取り組みの方が、流行やトレンドに乗った仕組みや取り組みよりも、優秀且つ自社にマッチしている場合も往々にしてある。

トレンドや流行を常にキャッチすることは大切であるが、このトレンドや流行に流されることなく、仕組みの中身や本質を理解し、"自社に合うという目線"で、人事の仕組みや取組みを検討する必要があるのではないかと考えている。

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※SMARTゴールとは
目標達成に必要な5つの要素の頭文字をとった言葉です。
S = Specific 明確な
M = Measurable 測定可能な
A = Attainable 実現可能な
R = Relevant, Realistic 価値観に沿った、現実的な
T = Time-bound 時間軸のある



コンサルティングソリューション事業部
新井誠

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