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組織を活性化させていく上で外せないポイントを、企業や組織が抱える問題や課題と照らし合わせて分かりやすく解説します。日々現場でコンサルティングワークに奔走するコンサルタントが、それぞれの得意領域に沿って交代でご紹介します。

採用条件緩和について

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人事採用担当者とお話しする機会が多く、自社採用について100%満足していると答えられる方は一部の超大手企業を除いてほとんどなく、何らかの課題や問題点を抱えながら、目標に向かって様々な施策を打たれています。そんな中お聞きする話の要点は以下のようなものが多いです。

・人材不足は継続して厳しさが増している状況
・人材流出による穴埋め採用から、労働環境の改善を目的とした採用へシフト
・売り手市場で人材獲得が難しいため、採用条件を緩和する企業が増加
・中途採用の今後の見通しは、経験者採用と未経験者採用の両方で拡大
・女性活躍促進に向けた取り組みに必要性は感じているものの、模索している段階

もちろんすべてではないですが、採用をお考えになっている担当者や、組織改革が必要とお考えの担当者との接点が多いため、私自身は上記内容を肌で感じています。

中でも3番目にある「採用条件の緩和」について、取り上げたいと思います。

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人材紹介会社を利用されるにあたり、ピンポイントのターゲットを採用したい、というのは当然前提にあります。しかし売り手市場の今、なかなか計画通りに採用が進まない状況で、採用条件を緩和される企業が以前より格段に多くなっています。

採用条件の緩和というと、多くは募集要項よりも、経験が少ない若年層か、経験豊富で年齢が高めか、という採用軸に振れると思いますが、今となっては、若年層は採れず、年齢を上げてもなかなか採用は進まず、といった状況が続いています。

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そのような状況の中、うまく採用戦略を練り、計画的な採用を進めている企業がありますので紹介します。その会社の採用軸は「人ありき・人物採用」で、性別・年齢・学歴・国籍不問(そもそも性別や国籍で選んではいけませんが)、転職回数も不問(きちんと転職経緯を説明できればOK)、これまで何をやってきて、これからどうありたいのかが企業のビジョンとマッチしていれば、お互い会って話をしましょう、というスタンスで選考を進め、結果として良い人材に巡り合い、採用されています。

決して大規模会社ではないですが、上場企業で、人事戦略にブレがないように感じます。若い社員が多い会社ですが、今月に入って決定された2名はともに50代の方たちで、これからのご活躍を大いに期待していますし、ワクワクしています。

かたや採用が計画通りになかなか進まない企業は、年齢と学歴と転職回数に強いこだわりがあり、その強すぎるこだわりでチャンスを逸している可能性があります。中途採用のマーケットで「誰々より若い人」「どこどこの大学以上」という選考よりも、「これまでの経験を活かしてほしい」「とてもバランスのとれた人柄」「就業意識の高さ」などの選考基準で採用を進めてみてはいかがでしょうか。結局のところ「適材適所」「相性」だと思います。

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これから労働者の年齢は益々上がり、定年延長・定年撤廃などが加速し、シニアの活躍がキーワードになると私は確信しています。お会いする求職者の方たちにお聞きしても、みなさんやりがいを持って働き続けたい人ばかりです。採用する側は、これまで35歳までで考えていた一般職の採用基準を思い切って45歳まで、45歳までと考えていたマネジャー職を55歳まで、40代までと考えていたポジションを60歳まで思い切って引き上げてみたら、とてもおもしろい、これまでと違った景色に出会えると思います。

近い将来、あらゆる企業でシニア人材の活用が当たり前になり、父親・母親世代の新人が隣に来るなど、年齢に関係のない役割分担が常態化すると思います。既に舵をきっている会社もたくさん出てきました。ぜひとも年齢・学歴不問の採用活動をお奨めします。

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そういえば元プロサッカー選手の中田英寿さんがおっしゃっていました。現役引退後、世界を旅してまわって感じたことの一つに、知り合って年齢を聞くのは日本人だけだと。世界のどこの国に行っても年齢を聞かれたことがないと。たしかに年齢を聞いても意味がない。人間の中身・本質をお互いが認め合って、友情は深まるのかなと思います。人間の本質を見て、採用・就職を決める。素敵だと思います。

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