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【シーズン4 第13話】環境研究=世相の変化予測

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 【シーズン4】のテーマは「イスラームの環境研究」ですが、今回は環境研究とは何かについて少し触れておきます。

 環境研究とは、以下の流れの日本版システム工学のフローチャート(創造性組織工学講座 P26)からすると、2.のフェーズになります。

  1.  マスクドニード
  2.  環境研究(技術情報バンク)
  3.  目標設定(PMの決定)
  4.  使命分析
  5.  現状分析
  6.  オルターナティブ
  7.  システム合成
  8.  システム分析
  9.  失敗研究
  10.  決定
  11.  実行
  12.  生産

 この流れを具体的に適応した例は【シーズン1 第15話】マーケティングクラウドは日本版システム工学で簡単に料理できる!で示しましたが、「1.マスクドニードのフェーズ」と、「2.環境研究、技術情報バンク」のフェーズは飛ばしました。

 【シーズン4】のテーマはムスリムへのマーケティングであり、1.マスクドニードはムスリムへのマーケティングとなります。

 「これで【シーズン3】は終わり、次の【シーズン4】ではムスリムへのマーケティングのPrefaceとして「イスラームの環境研究」をテーマとする予定です。」 【シーズン3 第15話】ヘブライ語のベン・イェフダーと井筒俊彦さん

 「この契約を通じて、私がイスラエルで学んだことは、イスラム圏とイスラエルは外交的には背を向けていますが、ビジネスとしては利害が一致するならば、第3者を通じビジネスが行われていることでした。また、イスラエルは人件費が高くなったため、工場を死海対岸にあるお隣のヨルダンに移転し、『Made in Jordan』としてイスラム圏への販売を行っている企業もあることも後に知りました。」  【シーズン3 第1話】 自由への逃走とイギリス

 「ムスリムへのマーケティング」というマスクドニードが発見できたら、次のフェーズは環境研究となります。

 「環境研究(Environment Reserch)といっても、近ごろ流行の環境汚染の問題に関するものではない。世の中のムードやトレンドはどのように変わって行くのか、という予測だ。新しいものを独創力で作るには、いくら早くても二年はかかる。一般的には四~五年がふつうだろう。時には十年かかることもある。ということは、数年がかりで独創的なものを作ったとしても、その間に世の中の流れが変わってしまって、せっかくの努力も水泡に帰すかもしれない。そこで環境研究が必要になる。」 (創造性組織工学講座 P37

 上記の解説では環境研究を新商品開発(イノベーション)のフェーズと捉えていますが、マーケティングを行う前段階でも同じことです。あるいは、新しくビジネスを起業するときでも、ビジネスの方向を変化させるときでも、同じように環境研究が必要になります。「ムスリムへのマーケティング」というマスクドニードであれば、事前にイスラームの世相の変化を予測する環境研究が必要になります。

 自分自身の体験で思い起こしてみると、20代で最初に起業したときは日本版システム工学が体系的に頭に入っていなかったので、単にパソコン黎明期(マイコン時代)の流行に乗っただけの起業でした。30代のイスラエルのビジネスをはじめる前はイスラエルについての環境研究を徹底的に行いました。彼らのバックボーンである旧約聖書はすべて読み、日本語で手に入るタルムードも読み、先駆者の経験から学び、イスラエルの情報を仕入れ、周辺国の状況を調べながらビジネスをはじめました。40代のWebマーケティング(デジタルマーケティング)では、事前にWeb業界の調査はもちろん、関わる人たちの性質や服装、数年後の方向性、欧米の状況などの環境研究を行いました。

 「まずは、簡単な自己紹介から。私は、20代だった1980年代、当時発売したばかりのPCを企業に導入するVARビジネスを起業しました。PCはLANでつながり、MML(Micro Mainframe Link)でホストコンピュータと連携して行ったので、IBMのVMやVSE上でのプロジェクトなどにも携わりました。その後、30代(90年代)には、オープンイノベーションのシードが豊富なイスラエルのITテクノロジーの日本への展開を推進し、40代(2000年代)は外資系ITベンダーの日本法人のマネジメントに携わり、Webにかかわる国内、海外の企業人、ベンダー、デザイナーと一緒に働いてきました。」 【シーズン1 第1話】マーケティングテクノロジストとペンシルロケットの神髄

 今振り返ってみると、私にとって、VARビジネスの起業も、イスラエルのビジネスも、デジタルマーケティングも、日本版システム工学というひとつのこと(コア)を実践していただけなのです。

 「20代の仕事を終わらせたのは、当時VARビジネスのベースにしていたPC用データベースが他の競合するベンダーに買収されたため、それまで10年かかり築き上げた仕組みが機能しなくなってしまったからです。次に30代のイスラエルの仕事を行うときは、資本を増強しゼロから仕組みを作り、ある販売会社に2万本の販売契約をしたのですが、資金回収の途中に無理な形で買収されそうになってしまいました。ちょうどその頃はバブル崩壊後で体力もなく、結果的に継続を断念しました(リードインベスターとメインバンクも破綻)。40代の外資系ITベンダーのときは、10年ほど地域軸(縦糸)のカントリーマネージャーを続けた後に米国の本社が買収されたので、日本法人も吸収されました。私は1年間身動きが取れない契約を締結せざるを得なくなり、サバティカルに入りました。お恥ずかしい限りですが、ここまでが10年おきに仕事の中身を変えてきた理由です。」 買収とマイクロサービス方式でのDIY

 10年間のベンチャー経験、そして10年間のイスラエルオープンイノベーション(イノベーション)、そして10年間のデジタルマーケティング(マーケティング)の経験をひと言でまとめると、Practice of Management だったのではないか、と自分なりに感じている次第です。


【シーズン1】デジタルのマーケティング
 http://blogs.itmedia.co.jp/CMT/1/

【シーズン2】マーケティングクラウドとマイクロサービス
 http://blogs.itmedia.co.jp/CMT/2/

【シーズン3】イスラエルのオープンイノベーション
 http://blogs.itmedia.co.jp/CMT/3/

【Coffee Break】
 https://blogsmt.itmedia.co.jp/CMT/coffee-break/

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