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【シーズン3 第10話】親イスラエルと反イスラエル

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 日本ではほとんど知られていませんが、デジタルマーケティングやリテール業界で有名な無印良品はイスラエルへの出店の計画がありましたが、中止しました。最近コカ・コーラやペプシがガザに工場を建設したことや、スターバックスへのボイコット運動があることは、グローバルでよく知られています。「Buy No Evil」というパレスチナ自治区のイスラエル入植地の製品を知ることができるAndroidアプリなどもあります。

 そして、最近はイスラエルブームなのでしょうか、イスラエルのStart upのすばらしさを伝える記事もたくさんあります。日本政府も正式に日本とイスラエル投資協定に大筋合意しました。中国とイスラエル間の企業間の連携も盛んになってきました。韓国は出遅れてしまいました。欧米諸国はイスラエルとの企業連携を推進しています。このようなイスラエルのイノベーション(Creativity)を積極的に活用しようとするグローバルな流れと反した活動が、前述の無印良品、コカ・コーラ、ペプシ、スターバックなどなどで起きていることも確かです。

 「多産多死と己の失敗」で紹介したように、私がイスラエルとビジネスを行っていた時代はアラブボイコットの影響がまだ残っていました。アラブボイコットとは、アラブ連盟の所属国(エジプト・シリア・レバノン・イラク・ヨルダン・サウジアラビア・イエメンの7か国で結成した同盟。後にパレスチナも含め加盟国は22か国となった)による対イスラエル経済制裁です。
 第1次オイルショックで日本は、親イスラエル国家とみなされ石油が高騰したため、イスラエル軍の占領地からの撤退とパレスチナ人の人権への配慮を声明し、長い間イスラエルとの政治的な関係は距離がありました。

 「イスラエルには、IBM、マイクロソフト、インテルなどのR&Dセンターがあります。そのR&Dセンターのエンジニアにオブジェクト指向を教育する専門の会社とも販売契約をしました。この教育コースウェアは当時IPAが出資する地域ソフトウェアセンター(全国14センター)のJavaの教育コースとして採用されることになりました。当時は国策的にアラブボイコットの影響もあったので、MITI中東アフリカ室にもイスラエルのことを理解していただこうと足を運んだものです。」 多産多死と己の失敗

 当時イスラエル製の教育コースウェアが、IPAに純粋な技術提案として受け取られるのか心配だったので、MITI(現在のMETI)の中東アフリカ室にアラブボイコットの影響が残っているかどうか様子を伺いに行ったこともあります。

 しかし、十数年を経過した2015年12月16日に、「日・イスラエル投資協定に大筋合意」(PDF:267KB)というニュースリリースがMETIから発表されるに至ったのです。このニュースリリースの発信元は「通商政策局中東アフリカ課 通商政策局経済連携課」となっていますが、当時の中東アフリカ室は3、4名で、少人数なことに驚いた記憶があります(今は何人体制なのでしょう)。

 イスラエルはパレスチナ自治区への入植活動を中止する気配はありません。幾度となく行われるガザ侵攻では世界中で反対運動が巻き起こり、ボイコット企業はリストアップされ、不買運動の標的とされています。不買運動を和らげる意味もあるのでしょうか、コカ・コーラやペプシはガザに工場を建てました。

 Coca-Cola's investment in Gaza

 日本人が日本で普通に暮らしていると、このようなグローバルな変化を感覚的に察知する能力が退化してしまいます。しかし、グローバルビジネスに大きく影響するイスラエルとパレスチナの問題(さらにイスラームの世相変化)などは絶えず念頭に入れて置く必要があります。

 これらのイスラエルボイコット運動には共通点があり、すべての商品がボイコットの対象になる訳ではありません。
 つまり、結論としてイスラエルボイコットの影響をあまり受けない方法を見つけ出せれば、このボトルネックは解消することになり、グローバルでトップレベルのオープンイノベーションを取り込むことができる、ということになります。


【シーズン1】デジタルのマーケティング
 http://blogs.itmedia.co.jp/CMT/1/

【シーズン2】マーケティングクラウドとマイクロサービス
 http://blogs.itmedia.co.jp/CMT/2/

【Coffee Break】
 https://blogsmt.itmedia.co.jp/CMT/coffee-break/

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